金魚すくい師はもっと世界に目を向けて

文筆業 丸神 竜司(66)

 

14日付けの貴紙本欄で「金魚すくい賛美論」が幅を利かせているが、硬派な論陣で知られる貴紙の投書欄にふさわしからぬ低レベルな意見に、小生いささかあきれ果てております。

 学生運動華やかなりしころ、さんざん批判されてきた金魚すくいをいまさら賛美するとは近年の右派反動と関連を思わせるきな臭い話だ。貴方が「金魚すくい賛美論」を支持することでこの日本が奢った金満大国と見なされる。それでもよろしいのか。

 未だ貧困にあえぐアジア諸国では、金魚は重要な食料であると聞く。金魚みたいなものが食料なのかと眉をひそめる人もありましょうが、それこそ奢った態度である。アジア諸国で金魚が食料として珍重されているのは事実で、特に中国では、その金魚すら手に入らないために小麦粉で金魚を模した餃子を作り、飢えを凌いでいると聞き及ぶ。

また、金魚すくいに用いる最中の皮もまた重要な食料である。
私が取材で、ある夏祭りに行ったさい、3,4歳の飢えた男の子が最中の皮をむさぼり食っているのを目撃した。周りに、多くの飲食関係の出店があるにもかかわらず。だ。
彼とその両親には失礼かと思ったが、彼のフトコロに鳥ガラ一羽分(しかも名古屋コーチンである)をそっと忍ばせた。彼は無邪気にも喜んでいたが、小生はあふれ出る涙を止められなかった。

 このような経済格差を忘れ果て、ロウマ貴族の如く「金魚すくいは素晴らしい」等と脳天気然とした妄言を吐いていては、いつかアジアの蛮族に滅ぼされるであろう。

金満日本で惰眠を貪る輩に、現実を知らせるために些かきつめの論調となった。年長者からの叱咤として受け止めて下されば僥倖である。

 


 

 

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